
地面に対して水平方向に葺く屋根を総称として横葺きといいます。読み方は両方「よこぶき」です。
英語だとRoof-singlesというのが多いようですね。訳としては板葺きということだそうです。
さて、立葺き以上に横葺きには多くのメーカーが商品化しており製品バリエーションがありますので、弊社Feat.オススメのメーカーをメインに説明していきましょう。
大きくわけて
・平葺き(ひらぶき)
・段葺き(だんぶき)
・金属瓦(きんぞくがわら)
・カラーベスト、化性スレート(けしょうすれーと)
・アスファルトシングル
等です。
平葺き

昔は横葺きと言えば平葺きでした。
手作りで四方をアザ折して縦横に接続して、釘などが表に見えないように屋根面を金属で覆うのに最適だったのです。
流れ方向の段差が少なく平らな仕上がりになるので、この名称で呼ばれています。
平葺きで多く施工しているのは月星商事株式会社さんのMST2ワイド220と稲垣商事株式会社さんのICヒランビー220です。
写真はICヒランビーの施工写真です。
昔の手作りしていたころの平葺きでは横方向にジョイントする部分に捨板をつけ、アザ折同士でつなげた後に接続部分を潰して水密性を上げていましたが、上記のようなロール成型品はアザ折に工夫がされていてカシャッとつなげばしっかり水密性能を発揮できるようになっています。
流れ方向のつなぎも同じくクリップのように成型されていてカッチリ嵌るようになっています。
逆にそこでカッチリ嵌っていないと簡単にめくれてしまう施工不良となってしまいますので、施工の際は接続部分がきちんと嵌っているかチェックが必要です。
また、松井板金資材株式会社という会社の製品も根強い人気があり、横の長さをある程度特寸対応してもらえたりします。
昔ながらの手作りの平葺きの精度を高めた製品「平成一文字」という商品も屋根専用と外壁専用とで出していて、上であげた製品よりさらにペタッと平らな仕上がりとなる隠れたヒット作となっています。
段葺き

段葺きで人気を二分しているのはアイジー工業株式会社さんのガルテクトシリーズとニチハ株式会社さんの横暖ルーフシリーズです。
写真はガルテクトですね。
両製品とも硬質な断熱材を裏側に装備しており、遮熱鋼板とのセットで高い断熱効果を謳っています。
やはり接続部分の工夫により高い施工性と水密性を持っていますので、安定した性能と段のある仕上がりで人気が高いのも頷けます。
また、両製品とも断熱材にいわゆる硬質ウレタンフォームを使用していますが、特にガルテクトの断熱材はポリイソシアヌレーヌフォームといって難燃性の高いものを使用しています。
ニチハ株式会社さんが窯業系(セメント質成型品)の材料なども出している総合外装製品メーカーなのに対して、アイジー工業株式会社さんは金属外装製品に特化していることもあり、断熱材に関しても金属外装材に最適化した素材を活用して、断熱材の成型・貼り付けに関しても高い技術を有していることがうかがえます。
その他メーカー各社でも段葺き製品が出されていますが、値段・意匠・本体自体や役物との納まりの施工性・性能と高次元でバランスしているのは現在この2メーカーといって過言ではないのではないでしょうか。
金属瓦

陶器瓦を模した、金属板をプレスで立体的に瓦調に成型した屋根材です。
Feat.で推しているのはマックス建材株式会社さんのマックス瓦シリーズです。
陶器瓦やセメント瓦と比較して1/7の重量と、住宅屋根用板金としては極厚0.6ミリのガルバリウム鋼板、そして仕上げ表面は85%フッ素配合のフッ素樹脂塗装。
瓦調に成型されているため、屋根材の裏側に大きな通気層が設けられて屋根面の湿気・熱気のコモりを自然と排出できるようになっています。
また、株式会社メタル建材さんのメタルルーフは金属瓦のスタンダード商品となっていて、施工も陶器瓦のように横桟に留め付ける施工となります。
写真はメタルルーフ。
ギングロが美しい。。。
施工性でいうと、マックス瓦は非常に板が厚い(通常の倍!)ため鋏で切ったり折り曲げたりするのが大変です!
対してメタルルーフは通常の厚さのため施工性は良いですが、横桟を予め設置する作業が大変かもしれません。
そうそう!固そうだからといって、瓦の山部分に乗らないようにしてくださいね!あっさり潰れてしまいます。
谷部を足全体で踏むようにしてください。
カラーベスト、化性スレート

建売住宅の屋根のスタンダードなのではないでしょうか。
施工性が良く、本体を葺くだけの作業であればあまり習熟度を問いません。
そうであるが故に「これはちょっと…」という施工をしてしまっている業者さんが多いのも事実。
とにかく出ている量が多いので、材料の問題というよりやはり理解不足の施工者が多くなりがちであるということでしょうか。
基本的に国内で流通しているのは今やKMEW株式会社さんのカラーベストシリーズのみ、という状況です。一社独占状態ですね。
ニチハ株式会社さんも昔は参入していましたが、現在は撤退しています。
セメント状のスレート材に表面を高耐候塗料でコーティングしている材料で、天然石を割って作る天然スレートを模した屋根材です。
金属でないので「なぜ板金?」といった感じですが、屋根は本体を葺くところ以外の雨仕舞をする部分は板金で納めますので、板金屋さんが施工することも多いです。
「屋根屋さん」と呼ばれるカラーベスト専業でやっている人もいます。
写真はコロニアルグラッサです。
こちらは、建売で使われる廉価品の一般の流通には乗ってこないビルダー向け専用品グリシェイドや、廉価品のコロニアルクァッドというものもありますが、グラッサコートというより耐候性の高い塗装を施されたものです。
材料自体を触っただけで違いがわかるほどパリッとしていて葺き暴れも少なく仕上がりも良好。
カラーベストを葺くならグラッサコート品をオススメします。
アスファルトシングル

アスファルトシングルはガラス繊維のシートにアスファルトを含浸させて表面に天然石粒を接着させた製品です。
こちらは葺くというより接着する製品で、どちらかというと防水工事に近いような感じでしょうか。
弊社Feat.では防水工事材料で有名な田島ルーフィング株式会社さんの三ツ星シングルや旭ファイバーグラス株式会社さんのリッジウェイをよく使います。
流通の都合というのもありますし、やはり有名ドコロということで安心感があります。
最近では、建売物件の屋根材のシェアがカラーベストに肉薄しているようです。
スレート材に比べて軽量でかつ同じ屋根葺き坪数に対して運搬時のサイズが小さいという運搬上のメリットと、材料に柔軟性があり様々な形状の屋根にも対応できること、あとはコスト上でも若干良いようですね。
施工的にはカラーベストと同じような工程で葺いて行きます。
接着剤を塗布して貼り付け、接着剤が乾燥するまでのズレ防止に釘留めしてサポートします。
接着剤留めなので塗布する手間は増えてますかね。でもカラーベストと違って専用カッターが不要で屋根上での移動量は少なく、施工者の負担は減っているかもしれません。
釘はあくまでサポートなので接着剤をつけずに葺き上げてしまうと抜けてしまいますので注意です。
表面の仕上がりは塗装ではなく、天然石粒の自然な発色で一枚一枚表情がありますので、欧風な家にマッチします。
マンションなどビルの斜壁に化性で取り付けることもあります。接着なので色々と自由が効きますね!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
同じ横葺きの屋根でも、意匠や機能で様々な工法・製品があります。
比較的取り付ける躯体の形状に左右されず、また運搬上もメリットがあり狭小地などにも搬入可搬性が高いので、多くの住宅に採用されています。
施工の工数や難易度は使用する製品にもよりますが、基本的に板金職人さんの仕事と考えてください。
板金仕事が多くなりますので板金職人さんの使うハサミ・ツカミ・ブリキヤハンマーなどそれなりの道具を揃えていないとなかなか大変かもしれません。
使用材料や工数に関しても行きつけのプロショップに相談してください。
「いつものお店」を作ることがプロの流儀です。
参考になりましたでしょうか。
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