雨どいの部位・役物名を解説【軒とい編】

雨どい工事にあたって必要な部材を拾い出す際に、言葉を揃えておくと混乱なくできますよね。

画像は、デンカ株式会社の技術資料が使いやすかったので拝借させていただきました。
雨どいメーカーごとに同じ働きのものでもそれぞれに部位名が違いますので、メーカー固有の名称と共通名称を交えて書いていきたいと思います。

図1

トップ画像を再掲して細かく見ていきましょう

図2

ということで今回は軒といパーツ

図1の一覧から名称を拾ってそれぞれ解説してまいります。

「軒どい」がいわゆる本体です。住宅用は1本あたり3,600ミリ(2間)の長さが標準です。
玄関用の小さい樋は2,700ミリ(1間半)、工場などに使う非住宅用の大型樋は4,000ミリとなっています。
在来工法ですと3尺を1単位として間口・奥行きを設計していくのでこういった単位が扱いやすいのだと思います。

さて、軒といの形状は大きく分けて半月型と角型があります。
角型はメーカー各社で様々な形状がありそれぞれ互換性はありませんので、一部補修する場合にはきちんとメーカーと軒といの名称を把握する必要があります。

角型の表側が取り付け側より高いタイプ(前高)は、屋根の軒先を目線から隠す効果と雨水が軒先から前に飛び出すのを抑える効果があります。
逆に一文字瓦や万十軒瓦など、軒先の仕上がりを見せたい場合は半月や前後とも同じ高さの角型といを採用すると良いでしょう。

「スナップソケット」「ソケット」はいわゆる継手です。本体同士をつなぐ部材となっています。
メーカーによって、ジョイントや軒継手など名称の違いがあります。

「伸縮ソケット」は継手の一種で、接着しないでスライドする機構となっており、一面の軒長さが長い場合に軒といが熱などで伸縮して破損するのを防ぐ部材となっています。
伸縮ジョイントと呼ぶこともあります。
メーカーによっては規格に無い場合があります。

「止り」は軒といの端部を塞ぐ部材です。
前高の軒といの場合は左右で形状が違います。
住宅用は左右ワンセットの販売になっていますが、大型といでは左右別箇に出荷してくれるので指定する必要があります。
その場合、地上から屋根軒先を見上げる目線で右手にあるものを「右の止り」と指定できます。屋根の上からの右は左の止りとなってしまうので注意しましょう。

「曲がり」は軒といのコーナーを納める部材です。
屋根の隅棟側に取り付ける曲がりを出隅や外曲がりと呼びます。谷側は入隅、内曲がりです。
半月型など軒といの前後で高さが変わらない場合に内外の指定は不要です。
しかし、軒といにはエスロンのRV105のように前後リバーシブルの雨どいがあり、前を丸側で使用する場合を基準にしていますので、前を角型で使用する場合の出隅は「内曲がり」を指定しなければいけませんので注意が必要です。

「伸縮じょうご」は軒といに流れる雨水を竪といに落とす「じょうご」の一種です。
伸縮ソケットと同様、軒といの伸縮を吸収する機構になっているのでこのじょうごを使用することで伸縮ソケットは不要となります。
通常のじょうごより飲み込みが浅いため水量が多い部分に使用するとオーバーフローしたり、伸縮機能の際から染み出したりしますので注意してください。
他メーカーでは洋風じょうご、F型集水器など様々な呼び方があります。

「DLじょうご」はデンカのダンラインエクセルシリーズの標準的な「じょうご」の固有名称です。
伸縮じょうごと違い水をある程度飲み込む容量があります。
通常「じょうご」といった場合、こちらのような形状のものを差すことになります。

他にも、軒といに直接丸く穴をあけて取り付ける「ドレン」やその形状を一体部材化したような「軒チーズ」、段違いの屋根で水上側の屋根の水を水下側の軒といに流す「よびといジョイント」などもあります。

また、じょうごは竪といの形状にあわせた落とし口を選択する必要があります。

今回は軒とい編ということでここまで。
ちょうどじょうごの説明に竪といのことが出てきましたので次回は「竪とい編」にしたいと思います。

参考になりましたでしょうか。
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