伝統の瓦葺きを金属横葺きで再現!金属瓦葺きを実際の現場写真を交えて屋根葺き体験してみましょう。
今回使用するのはメタル建材のメタルルーフという製品です。
横葺きは製品ごとに葺き方の特徴が立葺きよりありますので、事前に施工手順書を読み込んでおくことも重要です。
下葺き
軒先の広小舞・横桟の垂木を流す
本体を葺く
棟際を立ち上げ加工
谷を立ち下げ加工
こういった流れで施工していきます。
しつこいようですが、軒先から棟に向かって下から上に葺き上げます。
下葺き
まずは下葺のアスファルトルーフィングをシワや折れの無いよう屋根面に敷き詰めます。
谷部では先に谷に沿って縦に敷いておくことを忘れずに!
軒先の広小舞・横桟の垂木を流す
メタルルーフの特徴!
通常の金属屋根のように軒先水切りを使用する工法もありますが、軒先瓦というスターター瓦を使用する工法があります。
軒先瓦を使用する場合、軒先に30✕120材を斜めに面取りした広小舞をとりつけます。
この広小舞に軒先瓦を釘留めします。
横桟を取り付けます。
横桟の下に薄ベニアの小片を敷きますが、これは台風など横風で煽られて万が一金属瓦の裏に水が回っても桟木の下を水が流れるようにするためです。
木摺り(きずり)という、日本伝統工法ですね。壁の下地などでもこのような湿気を溜めない工夫をします。
本体を葺く
↑これが軒先瓦ですね。
二段目以降に葺く瓦には無い、巴状の形になっています。
雪止めは陶器瓦のように簡単に後付けできませんので、予めつけることを提案した方が良いですね。
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横葺き全般に言えるのですが、必ず千鳥になるよう葺いてください。
継ぎ目の縦地が揃ってしまうと水が入り込みます。
必ずしも上図のように左右対称に千鳥にしなくても、縦地が階段状になっても大丈夫です。
棟際を立ち上げ加工・谷は立ち下げ加工
屋根の勾配ごとにカットする角度が違いますので、現場で本体の立ち上げ加工です。
ツカミ巾の広めの掴箸を使うとやりやすいですね。
本体が瓦状に立体的に成型されていますので、立ち上げる部分を平らにナラシながらの加工となります。
技術というより握力の維持!気合です!
立ち上げるとこのような感じ。
水が横に走ったり、風であおられても安心です。
谷部はこの写真じゃわかりにくいですが、棟際の逆に下げる方向にナラシながら折り曲げています。
リフォーム現場で既存の屋根の仕事で切りっぱなしの板金を見ることがあります。切り口を見せない仕上げをきちんとしているのが板金職人ですね。
補足
たまに、金属瓦は「本物の瓦の模倣でしょ?」という意見もいただきます。
しかし、瓦というのもそもそも人工物ですし、西暦1600年ころではまだ陶器瓦の釉薬技術が未発達で、特に北陸など寒い地域では瓦に水分が含まれやすく凍害で割れることが多かったようです。そうした地域では鉛板による瓦というものもあったようですね。日光東照宮にも現存する銅瓦葺きというものもあります。
とはいえ、当時はまだ圧延技術がありませんので鉛や銅のカタマリを炭火で焼いて金槌で叩いて延ばしたそうで、1.0ミリほどの厚みがあったようです。
ずっしりと瓦らしい存在感があったんですね。
現在では圧延技術と連続メッキ技術の発達で非常に薄く、軽く、かつより劣化に強い金属瓦が製造できるようになっていますので、ある意味「瓦の進化版」といっても差し支えないのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
瓦屋根でも金属の瓦があるなんてビックリ?
浅草寺の宝蔵門と本堂の屋根はなんとチタン!です。一度見にいってみても面白いかも知れませんよ。
ほかにも寺社や駅舎など、公共的な建造物の屋根は見応えあります!
堅牢である必要がある建物が金属外装を選択するのは必然なのかも知れませんね。
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