シンプルな考え方が意外とイイ、という話

代表の佐藤です。

先日、株式会社中山建設様が手がける注文住宅の現場へ足を運びました。

ご贔屓にしていただき、様々な要望に応えていく過程で職人も私もたくさん学ばせていただいています。

そんな学びの中で、ちょっとした工夫で機能的でわかりやすくキレイな納まりになっているものをひとつご紹介いたします。

写真、ハレーション起こしていますが。。。。

こちら。

この案件は、最近流行りの軒ゼロ住宅でして、軒先やケラバ部の屋根の張り出しが非常に少ない作りになっています。従来の板金役物で納めてしまうと、横風のある雨などが屋根と外壁のつながり部分から浸入してしまいますので、下がり幅の大きい特殊なサイズの板金加工を施すことになります。

屋根のケラバという場所、写真の網が張ってある部分の上の板金(でわかりますかね?)なのですが、この板金が約100ミリほどの幅になっています。

板金は薄い0.35ミリの厚みですので、「ちょっとの工夫」がありませんと波打って写真のように真っ直ぐの通りになりません。しかし写真のとおりピシーッとまっすぐ通りが出ていますよね!

この工夫に気がついたのが約2年ほど前。同じく中山建設様の注文住宅の案件でした。

それまで波打ちを抑えるためには硬くすればいいだろう!とマッチョでメリケンなスタイルで0.5ミリの板厚まで試し、一応通りが出るようにはなっていましたが、その厚みになると何せ色の選択肢がありません!

0.5ミリ以上の厚みは工場の屋根など向けで、住宅向けガルバリウムカラー鋼板の主流の厚みは0.35ミリとなっています。工場の屋根などは規模が大きいですので、ある意味「ダイナミック」な作りで細かい加工を必要としませんので、0.5ミリ厚でも不具合がありません。しかし住宅向けとなると意匠もありますし、細やかな雨仕舞いなど、職人が現場で手作業にて切断・折り曲げ加工をするには、0.5ミリは厚すぎるのです。

例えば、折り鶴を折ってくださいと言われた時、折り紙用の紙なら手のひらサイズの鶴を折れますが、ボール紙だと両手で抱えるサイズにしないと折り目がシュッとなるキレイな鶴にならないですよね。

そんなこともあり、厚みごとに色の選択肢が変わって来ます。メーカー・卸とも流通の都合上、出荷の見込みのない厚みの板を製造・ストックすることもできませんし。

注文住宅ですので意匠上どうしても色を優先するため、0.35ミリ厚で通りを出すしかありません!

では、0.5ミリでやっと波打ちを抑えることができたものを薄い0.35ミリでどう実現したら良いのでしょうか。

「軒ゼロで破風が無いからダメなんだよ」

「裏にある通気材に接着しちゃおうよ」

「裏に針金でも接着したら?」

解決策より逃げ口上ばかり浮かびます。

「なんか骨になるものがあるといいんだけどね」

ふとしたタイミングでボソッと職人がひと言。

そう、ペラペラの紙のような状態だから波打つので、芯を通せば平らな状態を作れるはず。

「骨」か。。。

うちわは骨組みに紙を貼り付けているからしっかりして、扇げば涼しい。

ただの紙ではペラペラで風を起こせない。

いや待てよ、紙をちょっと湾曲させると!

扇げるじゃないか!

真ん中じゃなくても、両端を直角に曲げても扇げます。

板金で扇げる必要はありませんので(笑)、平面を保てる程度に角度を緩く、少しカゲが出る程度にして行きました。冒頭の写真を見ていただけると、、、ケラバ板金の下の端10ミリ程度に少し角度がついているのがわかりますでしょうか。

このように、ほんの少し折り目をつけるだけでペラペラの薄い板がピシッと平面を保つのです。

このようなほんの少しの工夫をするだけで、機能的で意匠を崩さない納まりを実現できるようになりました。出来上がってみると「なんだそんなことか」「そんなことも知らんのか」と思いますが、意外と意外と!思考の罠にはまり込むとどんどん難しく、余計なことを考えてしまうものなのですよね。

答えはいつもシンプルなものなのかも知れません。

どこかで聞いたフレーズだ。

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