勾配屋根は雨仕舞いに長けた金属外装工事の板金業者に依頼することをお勧めいたします。
疑うなんて性格が悪いようですが、何より建物を雨漏りから守るための「雨仕舞い」ですから厳しくビシビシとチェックします。
工事前の軒先の写真ですが、断熱材の下場がコの字の金具で塞がっているため、下葺きの下へ回った水が排水されずに水が溜まっている状態です。
シングル葺きは、防水業者も施工することが多く、「基本的に水は入れない、防水層の下には入らない」ということを前提の仕事をしているように感じます。
シングルのメーカーの標準部材ですので、メーカーとしても防水紙の性能に絶対の自信があってこのような形状の部材を提供しているのだと思います。しかし、手抜きとはいえ、実際には水が回ってしまっているわけですから、せめてコの字の部分に排水用の穴が開いていればもう少しマシだったのではないか、と感じます。
しかし、板金屋というのは、「水は外からは入らないようにはするが、空気中には湿気も結露もあるし、どこから侵入するかわからない。」という前提で仕事をします。
よって、どんなに強力な下葺きを敷いても、最悪の場合を想定し下葺きのさらに下も考えます。
こちらが新規の雨仕舞いの考え方の一部です。断熱フォームの下となる下地には既に防水処理が行われています。断熱フォームの下に回った水は、取り付けた板金を伝い壁から離れたところで垂れるようにしています。
伝統的な日本建築は、軒を長く伸ばして壁から離し、壁より外側で雨漏りをするように設計されています。正直なところ、近年流行りの軒ゼロは雨仕舞い的には最悪です。しかし、雨仕舞いを本分とする金属外装を扱う板金業者は、少しでも外壁の外側に水が落ちるような納まりを意識するようにしているのです。
ビルの屋上など、勾配の取れない箇所は防水しか選択肢はありませんが、勾配屋根は重力と粘性や空気の流れ、表面張力など水の性質の理解に長けた板金業者に工事してもらうことを強く推奨いたします。