
桟葺の施工に引き続き、今度は桟葺の進化版(?)嵌合立平葺きにチャレンジしてみましょう!
流れとしては以下の通りです。
軒先水切り・下葺き
屋根上げ
隅棟の垂木を流す
嵌合立平葺き本体を入れる
棟包み
今回は番外編として、樹脂の換気部材を使った換気棟となりましたので、こちらをご紹介します。
軒先水切り・下葺き
下葺を敷いて、スターターの唐草を取り付けます。
これは桟葺きと同じですね。
唐草の形状も同じものを使用します。(下地の厚みで下がり寸法を変える必要はあります。)
屋根上げ
L型のストッパーを用意しておくと、このように屋根上に仮置きすることができます。
別現場ですが、↑このように置くこともできます。
L型の金物を使っていますが、足場の建地(縦の棒)をストッパーにして仮置きすることもあります。
ズレやすいので、風がある日や仮置きの状態のまま現場を離れるようならしっかりナラシ番線などで留めておく必要があります。
恥ずかしながら強風で落としたことがあります。
人的被害が無くて本当に良かったのですが、ゾッとします。
棟・隅棟の垂木を流す
立平葺き屋根の水止めを作成しますので、棟の際を設定します。
この垂木に貫板を留めて貫板に棟包板金を留め付けることになります。
嵌合立平葺き本体を入れる
棟際はもちろん八千代折りで水止めとしています。
この屋根は寄せ棟の屋根ですので、ほとんど全ての屋根材を斜めにカットする必要があります。
事前調査の時点で完全に寸法を出すのが困難ですので、ある程度のロスを見込んで長めに成型するようにします。
嵌合立平は、縦桟がビスを打つところから左右どちらかにオフセットされますので、こういった隅棟を左右対称に葺いて行くのが難しいです。
墨付けと葺き方向をしっかり決めて施工に入ることが重要になります。
雪止めはなるべくつけた方が良いと思います。
雪がカタマリのまま屋根から落ちると、軒先の雨樋に乗っかってしまって吊金具から外れたり、ちぎれ落ちてしまうこともあります。
雪止めがついていれば徐々に解けた水だけが落ちるようにできますので。
棟包み
棟・隅棟に流した垂木に、貫板を留め付け、棟板金で納めます。
上の写真は隅棟の先端に剣先という役物を取り付け、そこから棟板金で登りながら納めていきます。
100ミリほど重ねることが必要です。
この写真は貫板につけたエプロン面戸です。
水止めは屋根本体を立ち上げますが、風で水が吹き上がってくると立ち上げ部分を飛び越えてしまいます。
その風を抑えるためにエプロンのように上からぶら下がるようなシャッターを取り付ける必要があるのです。
下は空いてますので、水が入っても抜けるようになっています。
通気させることで棟部分の湿気も抑えることができます。
換気棟の施工
上の写真は屋根の一番上の棟です。
穴を開けてしまいます。
屋根裏は生活の湿気がコモリやすく、また太陽の熱で高温状態です。
その熱気と湿気を穴を開けて排出するのですが、屋根に穴を開けてしまうので工夫が必要です。
通常は金属の換気棟があるのですが、こちらの物件は棟の頂点が400ミリ程度しかなく、一番小さい換気棟でも1.5尺(約455ミリ)のものが取り付けられませんでした。
よってこのような樹脂製の換気部材を取り付けることになりました。
見た目はホームセンターなどで売っているプラスチック段ボール(通称プラダン)のような感じですが、プラダンのように中空部分が直線的ではなく、空気は通しても水は通しづらい形状になっています。
正直、屋根裏容積から換算すると掃気量が不足しているのですが、意匠設計上仕方ありません。
樹脂換気部材の上に貫板を取り付け、棟板金で納めると、トップ画像のような納まりになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
桟葺と嵌合立平葺、同じ立葺きで似ている所もありますし、やはりちょっと違うところもありましたね。
とはいえ、基本をおさえておけば大きく間違うことはありませんので、ちょっとずつ経験を増やしていけば良いと思います。
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