
前回までに、回収の準備を見てきました。
今回からは回収手続きについてお伝えします。
3.一般的な回収手続きⅠ
今回からは、一般的な回収手続きについて解説します。
実際にどのような手段が取れるのか、どのような手段が効果的かは事例によって異なりますので、この情報を元に専門家のアドバイスを聞きながら進めることをお勧めします!
(1)交渉による回収(自分で行う場合)
回収の最も基本的で、最初に考えるべき方法は、交渉による回収でしょう。
①裁判所などを通さない分早く、②費用もかかりにくく、③角が立ちにくいためです。
特に、ご自身で交渉を行う場合には、代理人に支払う費用もかからず、最も安価に済ませることができるメリットがあります。
他方で、相手方にかかるプレッシャーは弱くなりがちで、結局、誰かに依頼したり、裁判を行ったりということになれば、二度手間になってしまう恐れもあります。
金額が大きい場合のように回収の確実性を上げたい場合や、相手側が交渉に応じていない場合のように強力なプレッシャーを必要とする場合等は別の手段をお勧めいたします。
直接回収する場合、訪問、電話等の手段での粘りづよい交渉が必要となります。
契約書を提示し、訴訟や差押え等の手続きに移行することを辞さないことを手紙等で伝えることも時には効果的です。
また、数次下請けの場合には、コンプライアンスに厳しい元請けを巻き込んでの交渉を行っていくことも有効である場合があります。
(2)交渉による回収(専門家に依頼する場合)
専門家に交渉を依頼する場合、弁護士以外が代理での交渉を行う事は原則として禁じられていますので、弁護士に依頼することになります。
その場合、弁護士によって進め方は異なりますが、手段として、大きくは二つが考えられます。
すなわち、①弁護士名義の督促状を送り、自発的な支払いを待つパターン、②弁護士が全面的に交渉を行うパターンです。
弁護士からの手紙が来ると慌てて支払いを行うケースというのも決して少なくはありません。
その意味では、①だけで支払いが来るのであれば、交渉も少なく、場合によっては弁護士費用を抑えられることがあります。
弁護士のスタイルもあるので一概には言えませんが、どのような進め方をするのか、それによって料金に違いがあるのかということはしっかり確認すると良いでしょう。
また、交渉が行き詰まった場合には、次の手段(仮差押えや訴訟等)に移っていくことになりますが、どのようにその判断を行うのか、その場合の追加費用がどうなるのかもきちんと聞いておくことが必要です。
弁護士の交渉の場合、概ね10万円くらいが最低額でかかってくることになります。
また、金額や難度によっては数十万~100万円単位ということもあり得ます。
他方、上の①のように督促状のみの場合にはさらに安くなる場合もありえます。
◎弁護士まかせにせず、どのように進めるのかきちんと話し合おう!
(続く)